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動画制作の内製化でコスト削減。方法とメリット・デメリット

動画制作の内製化でコスト削減。方法とメリット・デメリット

動画は重要なマーケティングツールとして欠かせない存在です。社外向けの動画から社内教育用のマニュアルまで動画化が進められています。

しかし
「外注にかかるコスト」
「納期などスケジュールの問題」
これらに悩む企業も少なくありません。

そんな中、動画制作を内製化する動きが増えています。

この記事では、動画制作を内製化するメリットやデメリット、実際に内製化を進めるためのステップや必要な機材について詳しく解説します。

自社で高品質な動画を作りたい方は、ぜひ参考にしてください。

動画制作の内製化とは:簡単な概要

動画制作の内製化とは、従来外部の制作会社に依頼していた動画制作を、企業内部で完結させることを指します。

・企画:撮影する動画の内容を考える。
・撮影:一眼レフまたはスマートフォンを使用した撮影。照明や録音機器の用意。
・編集:動画編集ソフトを使用した撮影素材の編集加工。
・公開:YouTubeなどプラットフォームへの投稿作業。

これらが一連の流れとなります。

動画制作を内製化するメリット

・金銭コスト削減
・コミュニケーションコストの削減
・納期の短縮
・事業創出の機会

これら4つが内製化における主なメリットになります。

金銭コストを削減できる

長期的な動画制作が必要になる場合、外部委託よりも内製化したほうが費用が削減できることがあります。

また、外部委託にかかる費用には人件費だけでなく機材費の一部が含まれます。自社で機材を購入した場合は一度の支払いで済むため予算を抑えることができます。

コミュニケーションコストの削減

外部に依頼する場合、企画の意図や細かい要望を何度もやり取りし、フィードバックを共有する必要があります。

すれ違いが起こると時間や費用も嵩むため、これらのコミュニケーションは重要です。

一方、内製化ではチームが社内にいるため、社内のものに対しての理解度が高くなります。

また、リアルタイムでのコミュニケーションが可能です。直接会話したり、すぐに修正や指示が出せるため、スピーディーに作業を進めることができます。

納期の短縮

外部の制作会社に依頼する際には、契約の手続きや詳細な仕様の確認、定期的なミーティングなどの調整が必要です。

また、動画制作会社に納期の短縮を依頼する場合、追加料金として制作費用の10%〜50%がかかることがあります。時間には限りがあるため場合によっては対応してもらえないこともあるでしょう。

内製化すると、自社のスケジュールやリソースに合わせてプロジェクトの優先度を変更できます。急な要件にも柔軟に対応しやすく、社内のリソースを最大限に活用して、効率よく制作を進めることができます。

事業創出の機会

内製化によって動画制作のスキルやノウハウを社内で蓄積することで、将来的に動画制作そのものをビジネスとして展開することも考えられます。

他の企業向けに制作サービスを提供し、新たな収益源を作り出すことができます。特に、同業種やパートナー企業向けに安定的な需要が見込める可能性があります。

また、自社で制作した動画コンテンツを販売するビジネスモデルも考えられます。たとえば、教育用のコンテンツやオンラインコース、エンターテイメント動画など、多くの業界で利用価値のあるコンテンツを作成し、商品化することが可能です。

動画制作を内製化するデメリット

・初期費用がかかる
・スキルの習得が必須
・時間確保が必要

内製化によって一切コストがかからなくなる、というわけではありません。それによって発生するコストもあります。

初期費用がかかる

動画制作には機材やソフトウェア、高性能なパソコンが必要です。

スマホで撮影し無料アプリで編集する場合、別途費用はかかりません。しかし、クオリティもそれなりのものになってしまいます。

企業として高品質な動画を目指す場合には、プロフェッショナルな機材が必要となるでしょう。

スキルの習得が必要

撮影、編集、ライティング、音声処理など、多岐にわたるスキルが求められます。これらを社内で全てカバーできるかどうかが課題になります。

YouTubeを使い無料の情報で独学で知識を得ることもできますが、情報の正確性に不安が残ります。

しかし経験則として、最初からクオリティの高い動画を作ることは出来ません。かといって練習機会を設けられない場合もあるでしょう。

効率性や正確性を求める場合には内製化支援を受けるのもおすすめです。

時間確保が必要

・機材のセッティング、片付け
・撮影
・動画の編集
これらにはそれぞれ時間がかかります。

例えばYouTube用にトーク動画を撮影する場合、20分の動画を作成するのに最低でも60分程度は撮影する必要があります。

また、編集には撮影の比にならないほど時間がかかります。前述した条件で20分の動画を作成する場合、早くても8時間はかかるでしょう。

昨今の動画事情として、より長尺な動画が再生されやすくなっています。10分では不十分で、20分程度が一般的となっています。

最初は演者もカメラの前で話すことに慣れていないので、更に時間がかかることが予想されます。

実際に内製化する流れ

計画的にステップを進めることが重要です。ここでは、内製化を成功させるための具体的なプロセスを詳しく解説します。

ニーズの明確化

最初のステップとして、動画制作の「目的と目標」を明確にすることが必要です。

例えば
・プロモーション動画
・製品紹介動画
・社内向けのトレーニング動画
どれに当たるのかを決定します。

この段階では、以下の要素に注目しましょう。

目的の定義: 例えば、売上アップや認知度向上など、動画がどのようにビジネスに貢献するかを明確にします。これにより、動画のテーマや内容、ターゲット層が絞りやすくなります。

ターゲットの特定: どの視聴者層に向けて動画を作るのかをはっきりさせます。年齢層、性別、趣味嗜好など、ターゲット層によって動画のスタイルや内容が大きく変わります。

プラットフォームの選定: 動画を公開するプラットフォーム(YouTube、Instagram、企業の公式サイトなど)によって、動画のフォーマットや長さ、制作スタイルも変わってきます。これも事前に明確にしておくことが重要です。

競合分析: 競合他社がどのような動画を作成しているかを分析し、需要の確認。また、自社の強みを活かした差別化ポイントを探ります。これにより、独自性を持った動画コンテンツを制作できます。

チーム編成と教育

専用チームの編成が不可欠です。どの役割が必要で、誰がどの業務を担当するのかを事前に決めておくことが重要です。

例えば、ディレクター(企画・進行管理)、カメラマン、編集者など、それぞれの専門知識が必要です。小規模のプロジェクトでは一人が複数の役割を兼務する場合もあります。

以下が編成例です。
・ディレクター、カメラマン(Aさん)
・編集者(Bさん)
・演者(Cさん)

Aさんには二つの役割がありますが、問題なく兼務することが可能です。Aさんが編集を行うのもいいですが、時間がかかるため分けた方が効率的となります。

プロトタイプの作成

できればいきなり本番の動画を作り始めるのではなく、まずはプロトタイプ作成しましょう。

❶テスト動画の制作: まずは簡単な動画を作成し、撮影技術や編集スキル、使用する機材の使い勝手を確認します。これにより、チーム全体のスキルレベルを把握し、必要な改善点を洗い出します。

❷フィードバックの収集: 作成したプロトタイプ動画は、社内の関係者やマーケティングチームに見せてフィードバックをもらいます。このフィードバックを元に、改善すべきポイントをリスト化し、本番制作に向けて準備を整えます。

❸改善の実施: プロトタイプの制作を通じて得た改善点を反映し、チーム全体がスムーズに本番制作に移行できるよう調整を行います。これにより、より高品質な動画を効率的に制作できるようになります。

制作開始

いよいよ本格的な動画制作に移ります。ここで重要なのは、スケジュールをしっかりと管理し、動画の品質を高めながら効率的に制作を進めることです。

❶スケジュール管理: 各工程(企画、撮影、編集、納品)のスケジュールを詳細に計画し、スムーズな進行を確保します。マネジメントツールを使用する場合はTrello、Googleスプレッドシートがおすすめです。

❷定期的なチェック: 制作中に定期的にチェックを行い、進捗状況を確認します。問題が発生した場合は、即座に対応策を検討し、プロジェクトが遅れないようにします。

❸クオリティチェック: 撮影した映像や編集の進行状況を随時確認し、細かい部分にまでこだわったクオリティを維持します。特に音声や映像のバランス、全体のストーリー性などに注目しながらチェックを行います。

❹最終調整と納品: 最終的な編集が完了したら、必要に応じて細かな調整を行い、完成度の高い動画を納品します。最後の確認作業では、プラットフォームごとのフォーマットや解像度の要件を再度確認し、問題なく公開できる状態に仕上げます。

動画を内製化するのにおすすめの機材

機材は、撮影や編集の質を左右します。今回は初心者でも扱いやすい、おすすめの機材を紹介していきます。

カメラ

Sony α7Cは、コストパフォーマンスに優れたカメラです。私はこのカメラだけで三台所有しています。

以下がおすすめする理由です。

・高画質
フルサイズセンサーを搭載しており、光をより多く取り込むことができます。結果、他のカメラやスマートフォンよりも高画質に撮影することができます。

・撮影時間の制限がない
カメラの中には撮影時間に制限があるものがあり、例えば30分までしか連続撮影できないものがあります。また、制限がなくても発熱により停止してしまうものもあります。a7cではそういったことがなく快適に長時間撮影することができます。

・筐体がコンパクト
他のフルサイズカメラに比べ、筐体が小さく重量も軽量です。三脚に立てて撮影する場合、筐体サイズは関係ありませんが手持ちで撮影する場合には疲労度に大きく影響します。

・バッテリー持ちがいい
大型バッテリーを搭載できるため、他の小型カメラよりもバッテリー持ちが優れています。

小さいカメラという条件であれば他にも選択肢がありますがバッテリー持ちが悪いなどの問題があります。トータルではa7cが優れているでしょう。このカメラでなくても、動画撮影に最適化されたものを探しましょう。

レンズ

SEL24105Gがおすすめです。

高価ですが、近距離から遠距離まで一台で幅広いシーンに対応することができます。

このレンズでなくても下記の条件に絞ると良いでしょう
・ズーム機能つき(単焦点ではない)
・近距離に対応している

単焦点レンズは扱いが難しいためおすすめしません。

マイク

Rode Wireless Proがおすすめです。音質がよく小型で便利なマイクです。

音が響かない環境であればショットガンマイクでも問題ありませんが、会議室など物が少ない環境では大抵の場合、音が響いています。

音のクオリティは「動画において最も重要な要素」と言っても過言ではありません。間違っても予算を削るポイントにしないようにしましょう。

照明

映像が暗くなるとそれだけで動画の質がチープに感じます。また、適切な明るさがなければ高画質に撮影することが難しくなります。

日光を十分に取り込める環境であれば照明は不要ですがそうでない場合は下記がおすすめです。

・狭い空間で撮影する場合:Falconeys RX-18TD
・広い空間で撮影する場合:Aputure 120D Mark 2

小さい照明の場合、光の広がりが小さくなったり空間全体を明るくできなくなってしまいます。照明は出力が重要なため多少大きなサイズでも許容しましょう。

動画編集ソフト

プロフェッショナルかつ著名なソフトがおすすめです。使用者が多ければ情報収集が円滑になります。

・Adobe Premiere Pro
最も有名な動画編集ソフトです。サブスクリプション形式での販売のみとなるため毎月数千円程度の支払いが必要になりますが、できることが多いため個人クリエイターから制作会社まで幅広く愛用されています。

・Final Cut Pro
MacOSでのみ購入することができる、買い切り型の動画編集ソフトです。パソコンがMacbookであればおすすめです。ソフトの動作が軽く快適に作業を行うことができます。

・DaVinci Resolve
今回紹介する中で唯一無料で使用することができるソフトです。無料でありながらプロフェッショナルな用途に向けて設計されています。映像の色味の調整に強いため、多くのビデオグラファーが愛用しています。

まとめ

現実的な話として、内製化を行うのであれば機械やテクノロジーに理解の深い人材、もしくは動画制作に熱量をもった人材がいることが重要です。

そうでない場合、やはり内製化支援を受けることをおすすめします。

継続的に制作を委託するのではなく初期段階である教育を委託することで長期的なコストの削減を図ることが出来ます。
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